シラミつぶしの旅

数年前のことです。

「いつか行ってみたいな~」「これを見てみたい!食べてみたい!」と、

ずっと長い間思っていた願いをすべて叶える「シラミつぶしの旅」をしました。

次から次にワクワクの連続でとても楽しかったのですが、少し複雑な思いもした旅の記録です。

 

まずは、福岡から飛行機で宮崎へ。

そこからレンタカーで大分から福岡へと北上しながら戻ります。

 

①宮崎でのお目当ては「篠田桃江のオブジェ」

篠田桃江って誰?→「人生は一本の線」

有名な建築家(丹下健三)が手がけたという立派な建物、日南市文化センター。

誰もいない。

実際に作品を目の前にした私も、失礼ながら「これ何??」でしたが、、

いやいや、これが見たかったのよ~♡

 

②高千穂では、運よく雲海からのご来光を拝み、幻想的な景色がまさに神がかり。

初めてだったのは、「あまてらす鉄道」

めちゃくちゃオープンエアーなトロッコ列車が、住宅地や山を走りぬける観光列車。

日本一高い鉄橋のちょうど真ん中で列車が停まり、立ち上がって存分に絶景を堪能できる。

車掌さんがシャボン玉を飛ばしてくれたり、乗客を楽しませる数々のおもてなしも名物の一つ。

2005年の台風で廃線となった高千穂鉄道を復興させたいという思いから、姿を変えて運行を再開したそう。

全く知らなかった。

 

③途中、とても縁起のよさそうな「姫だるま工房」を見学し、長湯温泉(大分県竹田市)へ。

10年近く前にその名前を聞いて以来、ずっと行ってみたかった「ラムネ温泉」

日本一の炭酸泉はピーリング効果もあるらしく、湯舟に「顔もつけてください」と書いてある。

隣の女性もつけてるし、私も思いきって顔をつけてみる。

確かに、顔がピリピリして美肌効果ありそう!何度もつけた。

ヨガのおかげで、「この人大丈夫か?」と思われるほど長く息を止めていられる。

ヨガをしていてよかった。

 

④ここ竹田市は、滝廉太郎の「荒城の月」が生まれた岡城の城下町。

小さなトンネルがあり、中を通ると「荒城の月」が流れる。

誰もいない。

武家屋敷の町並みを歩いていると、ひっそりとした空気の中にあるものをみつけた。

「キリシタン洞窟礼拝堂」

長崎だけでなく、全国的に弾圧されていたキリシタン。

思いがけず、またキリスト教禁教時代の名残に触れ、

今までの旅や知識とつながってうれしい!→「やっと会えたね♡生月島」

 

⑤そこから道なき道を走り、迷いながらようやくたどり着いた、日本一美しいという「白水ダム」

誰もいない。

延々となめらかに流れ落ちる白い泡模様と、左から曲線を描く水の流れがどても美しかった。

ずっと見ていられる。

 

⑥天ヶ瀬温泉(大分県日田市)へ。

美しい地名に魅かれ、一度来てみたかった。

山に囲まれ、ゆったりとした川が流れる歴史ある温泉街。

だけど、ここ天ヶ瀬も2020年の豪雨で大きな被害を受けた。

天ヶ瀬温泉を象徴する川沿いの共同露天風呂は、いくつか閉鎖されていた。

当時の被災状況のまま残された旅館などもあり、胸が痛んだ。

 

⑦最後の目的地、同じく日田にある「皿山」と言われる小鹿田焼の里と東峰村(福岡県)へ。

まさに、昔話に出てくるような日本の原風景が残る自然に満ちた静かな里。

そこから聞こえてくる「ぎぎぃ~~ごっとん」という音。

「唐臼」という地中に埋められた臼と杵が、川の水の力を借りて(ししおどしの原理)ゆっくりと動き、山の土を砕いている。

あ~、これが見たかったのよ。ずっと見ていられる。

一子相伝の世襲性であること、全て地元で調達した材料を使い、土作りから窯出しまでの全行程が手作業であることも興味深い。

が、、ここも2017年の豪雨で甚大な被害にあった。

 

⑧長い旅の終わりに、これまた前から気になっていたお弁当をゲット。

日田駅前にある人気の食堂「寶屋(たからや)」さん特製の「きこりめし」と「かっぱめし」

日田杉でできた小さなノコギリがついていて、まるで丸太な太いゴボウを切って食べると気分は木こり(*´▽`*)

かっぱめしは、三隈川を流れる筏をイメージし、20センチもの長~い細巻が3本並んでいる。

もぅ~、楽しすぎる!(^^)!

 

いやいや、このお弁当には日田へのいろんな思いが詰まっていて、その一つに「山と川は切っても切れない存在である」ということ。

確かに、山から湧き出た清らかな水が川となり、そこに町や文化が育まれる。

そのおかげで、今回もたくさんの山、川、滝、温泉、おいしいお料理やお酒を楽しむことができた。

どれもその豊かな水があってこそだけれど、その一方で、それだけではいかないのだということも目の当たりにした。

何事にも二面性がある。

 

そして、訪れた場所どこも昔は栄えていたであろう、今は誰もいない町を歩くと、

栄枯盛衰、諸行無常。

まさに、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」

いつまでも同じようにはいられない。→「あゝ無常、、」

 

お弁当のふたを閉じ、とうとうと流れる雄大な三隈川を見ながらそんなことを考える。

片っ端からシラミをつぶしてとてもスッキリとした反面、なんとなく苦~い後味の残る、「水」とともにあった旅。

 

また長い雨が降る季節がやってくる。

もうこれ以上、大規模な災害が起きないこと、被災した地域にまた元のにぎわいが戻ることを心から願います。

 

ありがとう。

 

※「きこりめし」の写真はこちらからお借りしました。

日田生まれの「きこりめし」、知ってる?#ヤブクグリ|オオイタカテテ|大分の魅力的な情報、就職情報発信マガジン (pref.oita.jp)